「日本列島丸ごと再現」虚構に満ちた仮想空間ビジネスにメス(産経新聞)

 「あらゆることができる世界」「もう一つの日本」−。27日に特別商取引法違反容疑で捜索を受けたネット関連会社「ビズインターナショナル」は、自社で運営する仮想空間「エクシングワールド」をこう評していた。しかし、その世界は実際には実現不可能なものばかりだった。

 ビズ社のPR用DVDや会員向け資料などによると、エクシングワールドは現実の世界を3Dで再現した仮想空間で、「日本列島を丸ごと再現している」と喧伝していた。会員はこの空間で「アバター」と呼ばれる自らの分身を操り、高速道路を愛車でドライブしたり、他の人と会話をしたり、あらゆることを楽しめる−とされていた。

 また、仮想空間内では「イーエン」という通貨が流通し、人々はこの通貨で買い物ができ店も経営できるなど、ビジネス的な要素も強調していた。特にビズ社が強調していたのが土地ビジネス。「エクシングワールドの土地には限りがあるので一般公開前に先行会員になり、優先的に購入しておけば必ず後で値上がりする」などと説明、会員に仮想空間内の土地取引を奨励していた。

 実際に、このようなビジネスは成り立つのだろうか。ゲームジャーナリストで立命館大学講師の新清士さんは、「現在では仮想空間の土地が爆発的に値上がりすることは考えられない」と話す。新さんによると、米国のリンデンラボ社が運営する仮想空間最大手の「セカンドライフ」が流行した直後には、確かにそのような現象が見られたという。しかし、その後同種の仮想空間が続々と登場したため、「仮想空間の土地の価値は大幅に下落した。同種の仮想空間がある限り、希少価値はない」(新さん)という。

 また、ビズ社を相手取り損害賠償を求め大阪地裁に提訴している男性(41)によると、ビズ社は仮想空間の中で流通する仮想通貨「イーエン」に関して、会員向けセミナーで「実在の銀行が発行する電子マネーなので信用がある。いずれはコンビニでも使えるようになる」などと説明していた。

 しかし、国内で運営される仮想空間では「ゲーム内の不当行為を取り締まるのが難しい」(新さん)ため、実際には各運営主体の規約で換金は禁止されているのが通例だという。

 新さんは「仮想空間の土地売買で儲かるなら、もっと多くの人が参加しているはずだ。そもそも日本列島を丸ごと再現するのは、現状の技術では難しいのではないか」と話している。

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